翻訳の見積りを依頼したら、翻訳会社に「この部分はリーガル翻訳が必要になるので計算が別になります」と言われた経験のあるご担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、リーガル翻訳とは何なのか、どんなときに必要になるのか、運用のコツなどについてご紹介します。
リーガル翻訳とは
リーガル翻訳は「法務翻訳」とも呼ばれ、その名のとおり、法律や法令、契約書、各種規約、訴訟文書などに関する文章を翻訳することを指します。
リーガル翻訳が必要になる例
翻訳対象が契約書などの法務文書そのものであるときはわかりやすいのですが、マニュアルやソフトウェアのUI、Webサイトの翻訳などで思わぬときにリーガル翻訳が必要になることがあります。たとえば、企業Webサイトのプライバシーポリシー、製品ドキュメントのコピーライトや免責事項、サービスの利用規約などが翻訳対象に含まれている場合です。
通常の翻訳との違い
翻訳対象のファイルにそうしたページやパラグラフがある場合は、翻訳会社はその部分の翻訳にリーガル翻訳に対応できる翻訳者を割り当てます。また、その部分については必ずお客様の法務担当の方にレビューしていただくことになります。あるいは、そのような記述が含まれている場合、翻訳会社は定型文の有無についてお客様に問い合わせをすることもあります。
リーガル翻訳は法律や法令に関わる文章を扱うため、誤訳や解釈ミスがそのまま損失につながる危険性もある非常にデリケートな分野です。法務の専門知識を持った翻訳者が細心の注意を払って翻訳する必要があります。
リーガル翻訳の発注
外部に発注する場合は、リーガル翻訳を専門にしている信頼できる翻訳会社に相談することをおすすめします。また、自社の法務部門や関連部署に事前に相談して社内レビューをしていただけるように手配しておくことをおすすめします。
リーガル翻訳は、専門の翻訳者の手配が必要になるため料金は他の分野よりも少し高めに設定されていることがほとんどです。
リーガル翻訳のTMの運用
そうした記述を含む翻訳を発注して自社でのチェックが完了したときに、翻訳メモリ(Translation Memory、TM)を作成しておくと、更新版を翻訳するときにチェック済みの訳文を活用することができます。そうすると更新された部分だけをチェックすればよいので、効率的にレビューできます。原文のどこが更新されたのかは、翻訳支援ツールを使うと比較的簡単に検出できます。翻訳会社に発注する際に、変更された部分がわかるようにマーキングを付けるなどするよう申し送りをしておくと安心です。
また、自社の出版物に必ず含まれるコピーライトなどの定型文もTMにしておくと便利で、間違いも起こりにくくなります。