翻訳プロジェクトはタイトなスケジュールで進められることが珍しくありません。
特に外資系企業のお客様からは、本国から指定された期日は絶対であるというような切実なお話をよく伺います。また、Webサイトやマーケティング資料の場合は、プレス発表日や公開日があらかじめ決まっているため、その日に間に合う日程を組む必要があります。このような状況にあるお客様にとって、「翻訳を発注してからどれぐらいで最終ファイルを受け取れるのか」ということは非常に重要です。
翻訳プロジェクト全体にかかる作業期間の根拠
翻訳プロジェクトの作業期間は、他業界のプロジェクトと同じように、各工程にかかる日数をもとに計算します。「翻訳サービスの標準フロー」の画像を例に考えてみます。
各工程を表にすると以下のようになります。最初の3つの工程は見積りの段階ですでに完了しているので、プロジェクトが開始されたら4つ目の準備作業から取りかかることになります。
| 順番 | 工程 | 担当 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 1 | ファイル・資料の確認 | 翻訳会社 | 発注前に完了している |
| 2 | 見積りの作成 | 翻訳会社 | |
| 3 | 見積りの確認 | 発注者 | |
| 4 | 準備作業 | 翻訳会社 | |
| 5 | 翻訳・レビュー、確認事項の申し送り | 翻訳会社 | |
| 6 | 翻訳のチェック・確認事項への回答 | 発注者 | |
| 7 | 修正の反映 | 翻訳会社 | |
| 8 | DTPファイル作成 | 翻訳会社 | DTPが必要なプロジェクトのみ |
| 9 | DTPチェック | 発注者 | |
| 10 | 修正の反映 | 翻訳会社 | |
| 11 | 最終チェック | 発注者 | |
| 12 | 最終納品物作成 | 翻訳会社 | |
| 13 | 検品・検収 | 発注者 |
各工程にかかる日数はプロジェクトによって大きく異なる
この工程ごとの日数はどのように見積もったらよいのでしょうか。残念ながら翻訳対象のコンテンツの種類や量によって大幅に変わりますので、作業内容が確定していないと正確な日数を算出することはできません。
各工程にかかる日数の目安
とはいえ、まったく予定がわからないというのは困りますよね。だいたいどのくらいの期間を予定しておくべきなのかを知る目安がいくつかあります。ここでは、時間がかかる主な作業について、その目安をご紹介します。
- 翻訳/レビュー工程
翻訳者一人が1日に翻訳できるワード数は、一般的なマニュアルで1,500~2,000ワード程度といわれています。そして、翻訳会社の多くは、翻訳完了後にレビュー工程を設け、誤訳、タイプミス、スタイルや用語の整合性などをチェックして修正します。レビュアが1日にレビューできるワード数は4,000ワード程度ですので、たとえば15,000ワードの文書の場合、翻訳とレビューで13日程度かかると見積もることができます。 - DTP工程
DTP工程は、たとえば、凝ったアニメーションが組み込まれているPowerPoint文書なのか、イラストや図表を駆使したIllustrator文書なのか、シンプルな InDesign文書なのか、といった条件によって、だいたい1日に何ページくらい処理できるかが異なります。こちらは、翻訳会社に目安を確認されることをお勧めします。 - お客様のアクションが必要な工程
そのほかに、翻訳会社への質問への回答や、お客様によるレビューの日数も計算に入れる必要があります。
迷ったらご相談いただくのが早道
「まだ予算が取れるかどうかわからないけれども、やるとしたらおよそどのくらい時間がかかるか知りたい」というような場合でも、遠慮なく翻訳会社にお問い合わせください。おおよその作業期間をお答えすることができます。また、概算の作業期間を見た段階で厳しそうだと思ったときには、スケジュールについてご相談ください。お客様のご都合やスケジュールに応じて調整できる部分がある可能性もあります。