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翻訳メモリのマッチ率とは

翻訳の話をしているときにマッチ率という言葉を耳にすることがあるのではないでしょうか。マッチ率とは、簡単に言うと、既存の翻訳メモリ (TM)に登録されている特定の分節と、翻訳対象の文書内の特定の分節とが、どれだけ一致しているかということを指します。このマッチ率は、翻訳支援ツールの解析機能によって算出されます。

以下に例を示します。翻訳メモリに登録されている原文と、翻訳対象の原文を比べて、一致していない箇所を赤字で示しています。

翻訳メモリに登録されている原文   翻訳対象の原文 マッチ率
This brand new smartphone has two cameras on the back side, so you can take 3D pictures with ease. ケース1 This brand new smartphone has two cameras on the back side, so you can take 3D pictures with ease. 100%
ケース2 This brand new smartphone has two cameras on the back side, so you can take wide angle pictures with ease. 93%
ケース3 This brand new smartphone has a sub display on the back side, so you can check notifications anytime. 70%
なし ケース4 This brand new smartphone has two cameras on the back side, so you can take 3D pictures with ease. 0%
(新規翻訳)

ケース1は、2つの原文がまったく同じ文章なので、マッチ率は100%となります。ケース2では、"3D"が"wide angle"に変更されているため、マッチ率は少し下がって93%となりました。ケース3は一致しない箇所が多く、マッチ率は70%に下がります。ケース4のようにまったく一致しない場合は、マッチ率は0%となります。

このように、一致しない箇所が多ければ多いほどマッチ率は下がっていきます。100%未満のマッチ率は、「あいまい一致」や「ファジーマッチ」と呼ばれています。

44_tera.pngたとえば、翻訳支援ツールの1つであるTrados Studioでは、上図のように一致していない箇所とマッチ率がフォントの色や下線によってわかりやすく表示されます。

一般的に、IT翻訳ではマッチ率に応じた単価が設定されていることが多く、100%、90%、80%とマッチ率が下がるほど単価が高くなります。

まとめ

翻訳したいドキュメントに旧版の翻訳版がある場合や、過去に翻訳された文書を流用して作られた文書を翻訳する場合、もし翻訳メモリをお持ちでしたら、見積もりを依頼するときに翻訳会社に提供してください。また、翻訳メモリをお持ちでない場合でも、過去の原文と翻訳済みの訳文をセットで翻訳会社に提供すれば、それらのファイルをもとに翻訳メモリを作成することも可能ですので、手持ちの資料を活用できないか問い合わせてみてください。

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