翻訳を依頼したい文書は、どのような分野のものでしょうか?
「翻訳を発注するときに押さえておきたい3つの基本ポイント」で説明したように、翻訳を発注する際に考慮すべき点の一つに「分野」があります。医療、特許、金融、ITなど、翻訳を依頼したい文章の「分野」に応じて翻訳会社を選ぶことが大切です。
シーブレインはIT分野の英日翻訳を専門としていますので、ここではIT分野を例に挙げながら、「分野」を意識して翻訳会社を選ぶことのメリットをご説明したいと思います。
専門用語や言葉の使い方に強い
一般的に、翻訳では、原文の読解力と訳文の表現力に加え、対象分野の知識が必要とされます。その知識がないと、特定の分野または業界に固有の用語や概念を間違って解釈してしまう可能性があります。
例えば、IT分野でよく使われる単語にinstallがあります。一般ユーザーの間でも「インストール」という言葉が使われるようになって久しいため、IT関連の文書で出てきたときにも反射的に「インストールする」と訳してしまいがちですが、対象がソフトウェアではなくハードウェアであった場合は「設置する」のように、より適した訳語を使う必要があります。同様にIT分野で頻出のdeployという単語も、対象や状況、または企業によって「デプロイする」「展開する」「導入する」などと訳し分ける必要があります。
同じことはIT以外の分野にも当てはまります。その分野や業界に関する知識が不足していると、例に挙げたような微妙なさじ加減を必要とする箇所で、気付かないうちに不自然な訳文を作ってしまうことがあります。
業界の最新事情に詳しい
IT業界に限らず、現代は移り変わりの速い世の中です。新しい技術やサービスが次々と生まれてくる一方で、少し前に一般的だった技術やサービスがすでに使われていないということも頻繁に起きています。
IT分野では、テクノロジーの進化に伴って、新しい概念や言葉が次から次へと登場しています。それらに適切な訳語を使い、内容を理解して翻訳するためには、業界の最新事情に通じている必要があります。その業界のスタンダードとして定着している訳語はあるか、どの程度一般的に普及しているか、企業によって同じ概念を異なる呼び方で表していないか、などを適切に判断できることは、訳文の品質にも大きく影響を与えます。
これもあらゆる分野について言えることです。特定の分野を得意とする翻訳会社や翻訳者は、その業界の最新動向を常にリサーチし、情報を収集して勉強しています。ですから、最新のテクノロジーや概念に関する翻訳も安心して任せることができます。
まとめ
今回は、特定分野を得意とする翻訳会社に翻訳を依頼することのメリットについて説明しました。
「○○分野に強い」と謳っている会社には、必ずその根拠があります。例えば、医療翻訳に強い翻訳会社には医療関連業界の経験者が、特許翻訳に強い翻訳会社には特許に関する実務の経験者が在籍しており、それぞれの経験を活かして高品質な翻訳を提供しています。
業界ごとに、固有の表現、考え方、ルールなどがあります。このような情報を熟知している人間が翻訳に携わることで、より高品質で、より読み手に伝わる翻訳を行うことができます。ですから、翻訳会社を選ぶときには、対象分野に強いかどうかもチェックすることをお勧めします。