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情報が翻訳の品質をよくする

翻訳の品質を良くするために発注者ができることとして、ここでは「情報を提供する」という、地味ながらコストがかからず、効果のある方法をご紹介します。

参考資料、用語集、翻訳メモリ(TM)がある場合

翻訳会社や翻訳者に渡すことができる情報としてまず思い浮かぶのは、参考になる文書や用語集です。このような資料を渡しておくと、訳文の文章のトーン、言葉遣い、用語に統一感を持たせることができます。また、翻訳者が調査に費やす時間も短縮できます。

document1.png翻訳メモリがあるなら

過去に、今回の文書の旧版や、似たような文書の翻訳を発注したことがある場合、翻訳会社からの納品物の中に「翻訳メモリ」が含まれていることがあります。この翻訳メモリがあると、過去の訳文を流用して品質を安定させたり、費用を抑えたりすることができます。翻訳メモリは、効率化やコストダウンに役立つリソースです。また、翻訳者にとっては、参考資料や用語集のように使うことができ、翻訳を進めやすくなるというメリットもあります。

翻訳メモリは持っていないが、過去に翻訳した原文と訳文があるなら

翻訳メモリをお持ちでない場合でも、原文と訳文それぞれの文書があれば、そこから翻訳メモリを作成できることがあります。この作業はアライン(align)や整合と呼ばれ、翻訳会社が得意とする業務の1つです。翻訳メモリはないけれども、対になる原文と訳文がある場合は、それらを活用できないか尋ねてみてください。

目に見える資料がない場合

目に見える資料や参考にできるものが何もない場合でも、提供できる情報があります。

翻訳したい資料に関する情報を伝える

「近日開催される展示会に合わせて、製品を紹介する資料を翻訳したい」というケースを考えてみましょう。このような場合は、資料の内容に直接関係のある情報だけでなく、役に立つかどうかわからない情報も積極的に提供することをおすすめします。

  • 展示会の開催日時
  • どのような人が見るのか
  • どのような人が見せるのか
  • 何をする製品か
  • 自社の似たような製品、競合他社の製品
  • その資料からどのようなアクションが起こることを期待しているか
  • etc...

このような情報があると、翻訳者は、「○○な人が使うのなら、××より△△と訳した方がいいだろう」「複数の競合製品の資料でカタカナが使われているから、この分野に詳しい人にはカタカナ表記が伝わりやすいのかもしれない」というように判断材料として活用することができます。

極端なケースでは、同じ用語でも、技術者が読む文書と意思決定者が読む文書とで訳を変えることもあります。少ない情報の中では用語集や翻訳メモリだけを頼りに訳をあてるだけになりがちな翻訳者も、たとえば「一般の人向けに説明するために使用したい」という目的を聞かされていれば、「用語集にはこうありますが、一般の人向けであれば、このように訳したほうがよりわかりやすくなるでしょう」と申し送りを添えてくれるかもしれません。

どのような翻訳を求めているのか、翻訳されたコンテンツを通じて何を達成しようとしているのかを翻訳会社や翻訳者に伝えてください。その情報があるのとないのとでは、訳文に違いが出てきます。

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