前回の記事(1)では、翻訳会社に依頼するメリットと、翻訳者に依頼するメリットそれぞれについて簡単にご説明しました。
そのとき、翻訳会社に依頼したほうがメリットがあるケースとして、次のものを取り上げました。
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この記事では、上記以外の「翻訳会社に依頼するメリット」についてご説明したいと思います。
A. 担当者が変わっても、基本情報が引き継がれる
発注するお客様も、翻訳会社も、担当者が異動したり退職したりする可能性があります。お客様の担当者が前任者から引き継いでいないのに「前回と同じように翻訳を発注しておいて」と指示されて困惑する様子は容易に想像がつくと思います。また、お客様の担当者が同じ人であっても、翻訳案件が年に1度あるかないかという場合は、その人の主な業務ではないので「前はどうだったっけ…」とメールボックスの中を探して途方に暮れることもあるでしょう。
一方、翻訳会社は翻訳が主な業務ですので、一度ご依頼いただいたお客様の基本情報はたとえ翻訳会社の担当者が変わっていたとしても必ず引き継がれています。お客様から「前回2年前にそちらに依頼した形跡があるのですが、こちらの担当が変わってしまって (or 前回のことをよく覚えていなくて) …」というお申し出があっても、前回と同じように対応することができます。お客様は、翻訳会社から提示された前回の手順を承認したり、変更を加えたりするだけでよいのです。滅多に発生しない業務のことを、依頼先の人が覚えていてくれるというのは、心強いことではないでしょうか。
B. 一定の品質が確保される
個人の翻訳者に依頼する場合、間があいてしまうと、訳文の調子が変わってしまう可能性があります。また、量が多かったり急ぎで翻訳が必要だったりして、適当なところで分けて複数人に依頼すると、途中から明らかに言葉遣いや文の印象が変わってしまうこともあります。
翻訳会社に依頼した場合は、前回からだいぶ間があいた場合でも、複数人で一気に翻訳した場合でも、翻訳会社のレビュアや担当者が必ず品質をチェックするので、訳文全体を通して、また、前回と今回とで、均一な品質の訳文を手に入れることができます。また、次回に役立つ資料(翻訳メモリ、用語集など)を作成したり、整備したりすることもできます。
C. 翻訳が納品されたあとに修正を依頼できる
一般的に、翻訳者は「1ワード/1ページいくらで翻訳」という約束で請け負っており、訳文を納品したらそれをもって完了となることがほとんどです。一方、翻訳会社に依頼した場合は、訳文を納品したあとにお客様が目を通して、修正したいところにコメントを入れたり用語の変更をメモしたりして、翻訳会社に全体の修正を依頼することができます(契約内容にもよります)。
他の業務もたくさんあるのに、自分で訳文を一言一句読んで修正を加え、間違いがないか目を皿のようにして確認するのと、翻訳会社に修正を依頼して納品されたものをチェックするのと、どちらをやりたいか… 自分の抱えている業務と予算の兼ね合いにはなりますが、ぜひご検討いただきたいところです。
D. 開始前に翻訳者に指示する手間が省ける
翻訳開始時の確認や質問への対応は、こまごまと手を止めなくてはならず思いのほか大変です。
翻訳会社に依頼すると、翻訳者からの確認や質問を整理して、ある程度まとめてから訊いてくれます。また、2回目以降の発注の場合は、前回の経験を踏まえてお客様に代わって翻訳者に回答してくれたりします。
E. 終了後に翻訳者を教育する手間が省ける
翻訳者に特定のクセがあったり、よく同じ間違いをしたりする場合、今回も、次回も、その次も確認・修正するのは大変です。「こういう間違いがよくあるので次から気を付けてくださいね」と伝えても、次にそれを覚えていて反映してくれるかどうかは全く分かりません。無意識のクセである場合は、言葉で伝えても定着しないことがよくあります。
翻訳会社に依頼した場合は、翻訳会社で気付いたクセや傾向は翻訳会社から翻訳者に伝えてくれますし、翻訳者が次回また同じミスをしたとしても翻訳会社のほうでそれに気付いて修正対応を取ってから訳文を納品してくれます。お客様は翻訳者のクセやミスの傾向について何も気にする必要がないのです。
まとめ
「情報が引き継がれるので、担当が変わっても、間があいても安心」
「翻訳会社がどのような翻訳者に依頼したとしても、翻訳会社としての品質を担保して納品される」
「翻訳が納品されたあとに修正をお願いできる」
「翻訳者とのやりとりや、今後のための指示、次回以降の反映を代わってやってもらえる」
これらはいずれも翻訳会社に依頼する場合ならではのメリットと言えます。
個人翻訳者に依頼すると、たしかに節約になるかもしれませんが、節約以外のメリットもお求めになる場合は、翻訳会社に依頼することも検討してみてください。依頼するかどうかは決めていなくても、とりあえず翻訳会社と話してみると、新しい発見や気が付くことがあるかと思います。