品質向上への取り組み: 「翻訳者の教育」とは

翻訳会社がお客様からいただく質問の中に、「翻訳者の教育」に関するものがあります。翻訳者の教育や指導はちゃんとしているのか、また、どのように行っているのか、ということです。

翻訳者の教育については、システム化している翻訳会社もあれば、翻訳者に任せている翻訳会社もあり、教育のためのスクールを所有しているところもあるので、一概にこうと言うことはできません。この記事では、翻訳会社から翻訳者に対してどのようなことができるのかを、翻訳開始時、翻訳中、翻訳完了後の3つの場面で説明します。

【1】翻訳開始時

  • 今回の翻訳に直接関係のある資料や情報の提供
    TMや用語集のほかに、参考になるWebサイトや製品資料、旧版の英日ファイル(ある場合)などを提供します。
    情報が翻訳の品質をよくする 』もご覧ください。

  • その翻訳者に対する申し送り事項
    特定の翻訳者に対して、頭のすみに置きながら翻訳に取り組んでほしいことを申し送りします。その翻訳者によく見られるスタイルガイド違反、言い回しのクセ、前回も翻訳を担当している場合はその時のフィードバックから抜粋したものなどを伝えます。

【2】翻訳中

  • 確認のとれた用語の情報や、追加資料の提供
    新しい製品、サービス、テクノロジーなどに関する翻訳の場合、翻訳開始時に情報が少ないことがあります。翻訳期間中に判明した新情報は、なるべく早く翻訳者に提供し、反映してもらいます。

  • (分納の場合)先に納品された訳文に対するフィードバック
    ファイルが複数あり、分納で対応している場合は、先に納品されたファイルに対して社内レビュアから(お客様のレビューが済んでいる場合はお客様から)フィードバックがある場合があります。残りのファイルに影響しそうなものがある場合は、早めに知らせます。(お客様からのフィードバックについては、『翻訳会社への「フィードバック」、していますか? 』をご覧ください。)

【3】翻訳完了後

  • 今回の翻訳に対するフィードバック
    社内レビュアが作成した、今回の翻訳に対するフィードバックを送ります。翻訳者の記憶が薄れないうちに送付します。

  • 翻訳者からのコメントに対する回答や、翻訳対象に関する追加の情報
    翻訳者は、翻訳中に不明だったことや確信が持てなかったことをリストにして、ファイルと一緒に納品します。これに対して回答できることがあれば記入して返却します。

  • 次回に向けた改善点や要望
    翻訳会社がプロジェクトの振り返りを行う際に、翻訳に対するフィードバックとは別に、翻訳に関して気になったことやお客様からのコメントをまとめておきます。次にそのお客様のプロジェクトを同じ翻訳者に依頼するときは、そのなかから役立てられそうなことを申し送りします。これが、上記「【1】翻訳開始時」の「その翻訳者に対する申し送り事項」になります。


この【1】~【3】の繰り返しによって少しずつ訳文の品質が向上していくことが、「翻訳者の教育」の結果と言えるでしょう。「翻訳者の教育」というと上からものを言うような印象がありますが、「プロジェクトのメンバーと、気が付いた事や改善できる点を共有すること」と捉えなおすと、たいていの翻訳会社が何らかの形で行っているものです。

もちろん、お客様からのフィードバックも大歓迎です。プロの翻訳者に意見するのはおそれ多いと思われるかもしれませんが、翻訳者はスキルの向上や新しい知識の習得に貪欲な人たちなので、改善を希望する点、疑問点、良かったところ、新しい情報などを積極的に伝えるほうが歓迎されます。それらの意見をきちんと理解し、次に反映できる人が、良い翻訳者として残っていきます。翻訳会社も、翻訳者も、お客様から積極的にフィードバックをいただけることを希望しています。

ぜひ『翻訳会社への「フィードバック」、していますか? 』をご覧いただき、フィードバックをしてみてください。

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