以前の記事、翻訳料金を明示していない翻訳会社が多いワケで、翻訳会社のWebサイトを見ても翻訳料金(単価)が分かりにくい理由についてご説明しました。
この記事では、翻訳料金の目安があっても具体的な全体の費用が把握しにくい理由についてご説明します。
翻訳の費用は「1ワードあたりの単価×総ワード数」だけではわからない
まずはこちらをご覧ください。
![]()
一般社団法人 日本翻訳連盟『翻訳料金(クライアント企業の翻訳発注価格)の目安』より
こちらの表を参考に、10,000ワードのコンピュータマニュアルを英日翻訳する場合で試算してみましょう。
コンピュータマニュアルの英日翻訳は 1 ワードあたり28円ですから、以下のような計算になります。
これで、そのマニュアルを翻訳して日本語版を作成する費用はおおよそ28万円とみてよいでしょうか。
答えは "NO" です。
資料の備考欄にご注目ください。
以前の記事でも触れたとおり、翻訳対象物に同じものは1つとしてなく、その内容によって翻訳料金は変わります。それに加え、全体の費用については、翻訳会社の方針や、翻訳以外にどのような作業が必要になるかによって変わります。たとえば次のようなことが考えられます。
- 翻訳会社が最低請負料金を設けており、非常に少ない量の場合は「単価×ワード数」ではなく、その最低料金が適用される
- 翻訳にあたってファイルの前処理が必要な場合、前処理の料金が加算される。
- 翻訳後に編集作業(DTP)やブラウザでの表示確認などが必要な場合、その料金が発生する
- 別途、プロジェクト管理費などの作業管理料金が設けられている
上記は、費用が加算される例ですが、反対に費用が節約できる場合もあり、それは、たとえば以下のような場合などです。
特にオンラインヘルプやマニュアルの場合、まったく同じ文章や、一部を除いて同じ表現の文章が繰り返し使われていることがあります。そのような場合は、繰り返し部分の料金が抑えられます。
「予算が取れるかどうかわからないけどざっくりした費用が知りたい」という場合や、「予算が限られているけれども何とか予算内に収められる方法がないか」という場合も、遠慮なく翻訳会社にご相談されることをおすすめします。
複数の翻訳会社に同じ条件で見積もりを依頼し、費用やサービスの品質、方針の違いについて比較し、最もニーズに合う翻訳会社をお選びになるとよいでしょう。